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「胸インプラント」リコールについて

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8月にこの件が発生してからだいぶ現場は慌てましたがやっと落ち着いてきました。
あまりにも繊細な内容ですので、掲載は控えていたのですがまだ情報を知らない人もいるようですので少し書いておこうかと思います。



胸のインプラントリコールが起こったのは、アラガン社のテキスチャードタイプのインプラントです。
表面が少しザラザラしたものですね。
右から2番目のものです。
保険適応で認可されている唯一のインプラントですので、乳癌で手術をした人の乳房再建に使われているタイプのものです。
そのため、急に使用できなくなったことで再建予定の患者様には本当に不安な日々を過ごされたことと思います。
やっと新しいインプラントも認定されましたので、来月にもなれば安定に供給されます。

ただ、乳癌の方だけが、問題ではなく、豊胸でも相当な数が使用されています。
当院では最近モルティバエルゴノミクス(右端)を使用しているためこの件に関しては問題ないのですが、過去に豊胸を受けられた方も自分は全く関係がないと思わずちゃんと定期的に医師の診察は受けてくださいね。
ちゃんと自分の体にどのタイプのインプラントが入っているのか十分カウンセリングを受けて理解した上で手術を受けていますか?
身体に異物を入れる場合は、インプラント、ヒアルロン酸、プロテーゼ全てを含め定期的に医師の元を訪れることをお勧めします。

さて、ではなぜリコールが起こったか。ですが。。。
ニュースにもなったため、なんとなく理解していると言う方が多いと思うのですが。
BIA-ALCLと言われている、悪性のリンパ腫になる可能性が、わずかではありますがある。ということが発表されたからです。
3000人〜30,000人に一人程発症する可能性があると言われています。
統計的にも非常に開きがあるのは、発症例数が少ないためなのですが、確率的にも0.03~0.045%程です。
二人に一人が癌になると言われている現代社会においては、0.03~0.045%というのは非常に低い値なのですが、少しでもリスクがあるものについては使用することを控えようとアメリカのFDAが決断を下しました。
全世界的にもちゃんとしたインプラントは統計処理が行われ、長期経過が見守られています。
インプラント使用を認定されている当院のような病院に対しては、日本でもかなり細かい報告が年に一度義務付けられています。
少しでも異常があれば報告し、何も異常がなくても全て報告し、全国的に統計がとられ見守られています。
なので、逆にヒアルロン酸を注入するよりも、豊胸にはインプラントの方が安全では?と思ってしまう今日このごろです。

もしもBIA-ALCLが発症した場合は、リンパ液が溜まるため非常に腫れ上がりますし、しこりをふれるなど身体に変化がありますので通常はすぐに気づきます。
早期発見をすると、ほぼ完治可能な種類のものです。
発症率が低いことからも、今挿入されている方も予防的に除去する必要はありません。
ただ、2年に一度はインプラントを扱っている専門医の診察を受けるように指導されています。
私のクリニックに来られる方は、一応一年に一度は診察を促しています。
何か心配な場合は、超音波検査などすぐに対応します。

このことがニュースになった時に、
私が驚いたことは、
挿入している患者さんが心配で殺到するのでは?! 
と思っていたのですが、意外と皆様冷静でほとんど誰も外来に来られませんでした。
定期診察の際に、「先生信頼しているし、大丈夫だと思っていました」などといろいろ言っていただけました。
やはり、手術を受ける際にかなり悩まれ決断されているだけあって、患者様は強い。
全力で応援します。
手術を受けた方は、基本的にはずっと見守っていくつもりで執刀していますので、その点はご安心ください。
その点に関しては、胸のインプラントだけではなく全ての処置においてですけどね。


一番大事なことは、ちゃんと医師に疑問を質問できる環境と、定期的に受診ができる環境だと思いますので、あまり不安にならずに普通に生活してください。
何かあった場合には、なくてもですが、、すぐに受診を (^ー^)
 
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