PICOレーザーがあまりにも優秀なので、正直手術は昔ほど行ってはいません。
だけど、1回で確実に取りたい方、つまり複数回通いたくない方、急いでいる方には手術が最も効果的ではあります。
小さい刺青や、腹部など、皮膚が十分にある部位に関しては切って縫い寄せる。という方法で対応可能です。また、傷跡を気にしないということであれば削除(色のついた皮膚を削り取る)や、削除+レーザーなども可能です。
傷跡をある程度気にされる方については、縫い寄せられる皮膚がない場合や、関節付近の刺青に関しては植皮が適応となります。
特に足首付近に刺青が入っている方。
意外と多い。
ズボンやスカートからちらっと見える刺青…
ただ、この部位は皮膚のゆとりもない上に、足関節の動きに対応しなければ将来的にもつっぱりが生じ、長く肥厚性瘢痕に悩まされる部位です。突っ張って痒くて。痛い。ということになります。
そこで刺青の皮膚を切り取った後、植皮、皮膚移植を行うという手術になります。ちなみに刺青は真皮全層にはいっているため、ほぼ皮膚はなくなり皮下脂肪が見えている状態となります。
皮膚移植にもレベルがあります。
皮膚の上層のみを削って移植する分層植皮。カミソリで皮膚を削るイメージです。採った部位は擦り傷の様な形。採った部位の真皮は残っているのでそのまま皮膚がはるのを待ちます。
皮膚移植は薄ければ薄いほど、生着率(生き残る率)があがります。つきやすいです。また、メッシュ状にして移植することも可能です。小さくとった皮膚で大きな範囲を覆うことができます。アコーディオンカーテンみたいに伸ばして移植します。
生着率がよく、小さい範囲で広い範囲が覆えるならいいじゃない。と思った方。ただ、見た目があまり綺麗ではなく、場合によっては拘縮がきます。真皮が薄いので質感が悪く、硬いのです。
ニードリングで伸べている様に、真皮の厚みは厚ければ厚いほど皮膚の質は良いです。老化すると真皮が薄くなるので、小皺がよったり、垂れたり、少しぶつけただけでも内出血したり、ずるむけたり、、、いいことないです。なので、真皮は厚みが欲しい。
とういことで、真皮は厚いほうが良い。よく伸びるし、外力にも耐えうるということになります。
そこで、植皮の中で最難関と言われる、含皮下血管網植皮が最も分厚い植皮です。真皮全層(全部)とその下の血管を含めて移植します。全層植皮とも言われますがちょい違う。
当院では基本的にはこれを用います。鼠径部あたりから皮膚を一塊に採取し、採取部位は縫合します。(ぬい寄せます)
そして皮膚をそのまま移植するという形です。真皮がぜーんぶそのままあるので、伸縮性がよく関節の動きにも耐えますし、外傷にも普通の皮膚同様耐えることができます。あとで傷ができて困る。ということもほとんどありません。質が最上級です。
生着的には難しいとされていますが、通常問題ありません。ただ、下肢の場合は術後なるべく挙上してもらうなど患者側の協力も必要です。
移植後の状態です。足首なので縫合できる部位はごくわずか。ほぼ植皮と置き換えです。
術後の状態です。引き連れや傷などはなく長期的に安定しています。
植皮が生着した後は、通常通りの生活で制限などもありません。好きなスポーツも含め自由に生活可能です。
植皮といっても色々あります。
大きさや部位によって一緒に相談しましょう。